JALの周りがにわかに騒がしくなってきました。
世界最大の航空会社であるデルタが出資検討を表明すれば、現在のアライアンス先であるアメリカン航空も負けじと名乗りを上げています。
スカイチームだとかワンワールドだとかいう話は、そこかしこに出ていますので割愛しますが、それ以外でもふとした疑問が。
そういえば、散々経営不振が伝えられていたJALではあっても、これまでは外資系企業が名乗りを上げることはなかったですね。経済誌などでは、「オープンスカイ構想」なる言葉が持て囃されて、さも時代が進むかのような論調となっていますが、ちょっと待てと。資本市場的には、やっと追いついただけなのではないか、と。
確かにナショナルフラッグであり、日本のインフラと言ってもいい企業ですから、外資系企業の持株制限があることは分かります。ただ、それならば、なぜ”上場”企業なのか。上場企業と言うことは、場合によっては好ましくない相手に買収されるリスクを背負うということ。それなのに、法律等で持株制限をすることは、いかがなものでしょう。考えようによっては、究極の買収防衛策ですね。
確か同じような議論が、ホリエモンによるフジテレビ買収の際にもありました。放送法の定めにより、一定数以上の議決権を日本国籍でない人(法人)が持つことはできないというはなし。
それを考えると、インフラ関連企業の、上場制度との親和性は検討の余地がありますね。
例えば、東京電力を外国人が買い占めて、原発の安全管理がずさんになったら・・・、みたいな話も想定されるわけです。その意味で、無防備は怖いですから、法の網をかけるのは正しいと思います。
その一方で、法で守ってもらえない多数の企業からすると、一部の企業だけ守られることには公平性に欠けるという考え方もあり、その意味ではインフラ企業は非上場の方が望ましいとも言えます。
ただ、インフラ系企業といえば、電力、ガス、鉄道、運輸、放送・・・などと、日経平均の中核を占めるであろう、大規模企業ばかり。これらの銘柄を抜いてしまえば、世界における東証の相対的な地位低下は免れないでしょうし・・。
難しいものですね。
海外のインフラ企業は、どうやって二律背反を解消しているのでしょう?機会があれば調べてみたいものです。
結果的にどちらかの資金は受けるのでしょうが、その後の対応が興味深いです。
これまでJALが増資の度に、経営健全化計画を策定していましたが、いずれも未達成でした。それも、調達前から達成可能性に疑問を呈する向きも多かったくらいに、その甘さが指摘されていました。
しかし今度は、資本の論理を前面に出す外国系企業が、マジョリティとはならずとも一定の持分を保有するわけです。さすがに、これまでみたいに「やっぱりダメでした」を連発するわけにはいかないでしょう。巷間言われながらも、散々達成できなかったコスト削減に、どう対応していけるものなのか。
注意深く見守っていきたいものです。
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