国破れて霞ヶ関あり 若林亜紀著

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国破れて霞ヶ関あり 若林亜紀著

junのブログ

今日、元財務・金融相の中川昭一氏が亡くなったというニュースが入ってきました。
政治家が亡くなって、その原因が不明だと、自殺や訳ありと思ってしまいます・・・。まあ、あまり突っ込むとゴシップになってしまいますので、その辺りはやめておきましょう。

それで思い出したのが、この本です。
冒頭で、金融立国として急成長したアイスランドが、リーマンショックを受けてデフォルトの危機に追い込まれた様が書いてあります。
そして、そのアイスランドを救済すべく、日本政府が10兆円(!)もの支援をIMFを通じて行うことになったことも。
恥ずかしながら、本書を読むまではその事実を知りませんでした。

国際社会へも胸を張れるような、そんな一大決定が、なぜ日本国内では報道されなかったか・・・・。それは、中川氏の酩酊会見一色になってしまったから。
確かに、ああいった状態で記者会見をした方もした方ですが、「周りはなぜとめなかったのか?」、「なぜこれだけの日本の国際貢献が少しも報道されなかったのか?」疑問はつきません。素直に考えれば、何らかの意図・力学が働いたことは否めないでしょうね。
その意図が何かは分かりませんが。

本書では、厚生労働省の関係団体で働いていた著者が、霞ヶ関関係者の税金浪費ぶりを、実名入りで公表した形となっています。
ある程度想像はしていましたが、これほどやりたい放題だったとは・・、と思わずにはいられません。
やはり、外部者からのチェックがないと、こうなってしまうんですね。

「監査」の観点では、第三者のチェック機能がとても重要と言われています。
社内においては、主要な業務は担当者以外の人間が内容をチェックする相互牽制が必要とされていますし、決算数値等の重要な部分については、さらに外部の第三者によるチェックも行われているわけです。
霞ヶ関も、こういった普通のチェック体制が整備されて、普通の形になっていってくれるといいんですけどね。

それと、アイスランドという国のあり方についても、考えさせられました。
やはり、金融はあくまでサービス業。実業がまずありきで、サービス業というのは、あくまでその上に付加的に成り立つものなんだろうな、と。
一時期、日本も金融立国を目指した時期がありましたが、その前にモノ作りなどの実需が伴わなければ。
その上で、さらなるサービスとして金融が成り立つのであれば、一番の理想型なのでしょう。
タックスヘイブン国などは、資源や人口規模などから、実業が成り立ちにくい状況なのでしょうが、日本はそんなことはありません。まずは実業!これを充実させていきたいものです。

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