昨日11/13に、日本航空が上半期の業績を発表しました。最終損益で1,300億円超の赤字としたうえで、事業再生ADRの申請も致しました。
本当は、決算発表や産業再生支援機構による財産評価が行われる前に、有報から債務超過額を推測したかったのですが、今更なので止めておきます。
そんな中興味深かったのは、11/7号の週刊ダイヤモンドの記事。JAL関連の特集なのですが、そこに2009/6末の想定BSが載っています。これによると、実態は7,500億円超の債務超過であるとのこと。
もちろん、「関係者へのヒアリング」によるもので、具体的な裏付けはないのでしょうが、これまでの金融支援額等を見ると、あながちハズレという訳でもなさそうです。
これだけ多額の資金が注入される話ですので、経営陣をはじめ、ある程度の”関係者”が腹を切らねばならないのではないか、と。そして会計士の立場から言えば、そこに監査法人の担当社員が入ってくるのではないか、というところは気になります。
では仮に、会計士が責任を取る場合、どこに焦点が当てられるのでしょうか。
巷間言われているOBの年金問題、これは3,280億円という大きなインパクトがあるものの、未認識(積立不足)部分は一定期間にわたり処理していけば良いため、現状の取扱が即会計基準違反ということにはならないと思います(それが実態を表しているか、と言えばまた別の問題になりますが・・・)。
気になるのは、減損会計です。件の記事では、退役機材に関する減損損失が3,700億円、リース機材に関する損失が1,150億円と、合わせて5,000億近い数値がはじき出されています。
減損や引当金など、「将来の見積」に基づいて適用される会計処理は、ビジネスのプロでは決してない会計士が、将来を見積もるという難題をこなさなくてはなりません。
また、当時行われた見積結果が妥当かどうかは、結果が見えた後に判定されることになるため、どうしても不利になりがちです。つまり、会社が破綻した後なら、「あのとき、将来破綻することは見通せたはず」と主張することは、誰でも出来ますが、本当に過去の時点で適切に見通せる人間など、そうはいないでしょう。
つまるところ、監査の結果責任を問われる場合に、減損会計や引当金の部分は「後出しジャンケン」が可能なわけで、それだけリスクも高い部分といえます。
さすがに、これだけ影響力のある会社ですから、監査法人を挙げて検討はしているのでしょうが、それでも誰かが詰め腹を切らされるのではないか、と同じ会計士として心配してみています。
同様に、継続企業の注記(いわゆるゴーイングコンサーンの注記)も、この第2四半期から記載されたようですね。確かに会計基準が変更され、将来性に「不確実性」が存在する場合のみ、この注記を記載することになったのですが、前期末や第1四半期では記載されていなかったという点が、気になります。
第1四半期→第2四半期の間に、状況が大幅に変化したということになりますが、こと同社の経営状態に限って言えば、第1四半期に注記を付さなかったことには、若干?です。
その辺りも、どういった判断が下されるか、着目していきたいです。
もしもですけど、JAL首脳陣に「継続企業として疑義があると、メンツが立たないから」という理由とかで押し切られていないですよね・・・・。それもありそうなだけに、少し心配です・・・・。