裸でも生きる (山口絵里子著)

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裸でも生きる (山口絵里子著)

途上国製のバッグを日本で販売することにより、途上国の経済的自立を目指している「マザーハウス」その代表である山口絵里子氏の自伝です。既に様々なメディアで紹介されていることから、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

良く語られる部分ではありますが、同社のモデルで特徴的なのは、単なる「支援」でなく、あくまで「自立」を目指すこと。従って、製品のクオリティは、欧米や日本のブランドと比較しても遜色ないレベルにまで持って行っている点にあります。

「貧しい国の人たちが作ってるんだね、かわいそうだから買ってあげる」というスタンスは、結局長続きせず、支援が途切れたらその時点でまた貧困へ落っこちてしまう。あくまで「ビジネスとして成立させる」ことで、永続的な自立を目指せるという考え方です。

すごいですね、これを、ハタチそこそこの若者が考えられるとは・・・。

この本を読んで感じたのは、日本でも同じことが言えるな、ということ。

先進国を東京などの大都市圏、途上国を地方に読み替えると同じ構図が浮かび上がってきます。

確かに地方は、若者の都市圏への移動により、経済が疲弊しています。大都市圏で稼いだ人・企業から税金という形で地方経済へ配分する、ここまでは良いでしょう。

では、配分の仕方はどうなのか?

単に予算をつけて公共事業を興すだけでは、「支援型」のモデルになってしまいます。お金はいつか尽きる時が来るし、尽きた瞬間に支援を受けていた地方は生きていくことが出来ません。実際、ばらまき型の公共事業にぶら下がっていただけの地方は、日本全体が沈没しかかっている現在、必要なお金が回ってこないで失業にあえいでいます。

やはり「自立型」にせねば。人材・ノウハウ・ビジネスモデル・お金、こういった物が堆積して、独自で再生産していける仕組みにお金を投資していなくては・・・。

個人的には、とにかく教育だと思っていますが、うまく方針転換していけるのでしょうか・・・。

そういえば、山口氏で一番すごいと思ったのは、バングラデシュの大学院に飛び入りで入学してしまったところですね。いくら現地主義とはいっても、バングラデシュの大学院終了という経歴はほとんど役に立たないだろう、と考えてしまいがちだと思いますが・・・。その行動力だけでもすごいですね。

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